ナツハゼの収穫と加工(308)
和製ブルーベリーであるナツハゼのことを、実の形が文福茶釜の蓋に似ていることから、ここ信濃町では「ぶんぶくの実」と言います。
ナツハゼは標高600メートル程度の全国各地の山に古来から自生していますが、園芸樹木として本格的に栽培され始めたのは今から30年ほど前からです。
佐藤夏はぜ農園では、農業法人「信州黒姫高原ファミリーファーム」による地元農産物加工事業の一環で30年前に苗木400本を山から移植し、今や2mを越えるまでの成木に成長して、一本の木から1kg程度の実を収穫できるまでになりました。
信州では信濃町、青木村、軽井沢町が産地で、信濃町の収穫量が最も多く、1農家あたりの収穫量では佐藤夏はぜ農園が国内トップクラスになります。ちなみに同じツツジ科に属しているブルーベリーの国内生産量も信州が全国一を維持しており、県内のブルーベリー生産の発祥の地もここ信濃町です。
この体験メニューでは、初日にぶんぶくの実の収穫、翌日に収穫した実を使ったジャム、ジュース、果実酒作りなどを行います。
ぶんぶくの実は、一房についている数粒をまとめて手で捥(も)いで収穫します。
ブルーベリーは一粒づつ指で摘んで潰さないように丁寧に収穫しますが、ぶんぶくの実は硬めなので数珠を一気に捥ぎます。
一粒の大きさはブルーベリーやブドウよりも小さく、秋まで日光を浴びて皮にも栄養が染み込み、実の芯までポリフェノールが詰まった紫色になります。
採った粒は腰に巻いた”びく”に入れ、小型のびく一杯で2Kg、中型のびく一杯で4Kgとなります。
数か月で鮮やかな紅色の「ぶんぶく酒」になります。
カッコよく言うと「ナツハゼリキュール」です。
ぶんぶくの実と氷砂糖にホワイトリカーを注いでビン詰めし、後はご自宅で毎日色の変化をお楽しみください。
1週間で色が変わってきて、1か月から2か月で飲み頃になります。
ご自分で簡単にできる「ナツハゼワイン」とも言えます。 市販のリカーを使いますのでこれは合法です。
このリキュールは「通」にも自慢できるレアーな一品です。
加熱せず、絞らず、採ったままのぶんぶくの実を酵母を使って、天然ジュースにします。
材料は、ぶんぶくの実、グラニュー糖、イースト菌、水です。
写真の例では、ぶんぶくの実2Kg+水2リットル+グラニュー糖+少々のイースト菌です。
ぶんぶくの実についている酵母菌とイースト菌がぶんぶくの実を発酵させ、甘いジュースにします。
発酵があまり進まない数日のうちに実をネットで濾して取り出し、ジュースを別の容器に移し替えます。
数日でその容器の下に澱(オリ)が沈みますので、上澄みだけをジュース用の小瓶に移し換えて出来上がりです。
ネットで濾した実にはまだまだナツハゼの美味しさが残っていますので、ジャムやパン用酵母などに利用できます。
ぶんぶくの実と砂糖だけで他に何も加えない、「本物」のジャムを作ります。
ブルーベリーに比べて皮が硬いので、最初に少し煮込むのがコツです。
お好みに応じて、レモンやブルーベリーワインや貴重な「ナツハゼワイン」を加えても美味しくなります。
1Kgの実から、4〜6個程度のビン詰めジャムが出来上がります。
この体験メニューの具体的な体験コースのご案内です。